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砂漠往来用の騎常用首長鳥、シャルモスに股がり砂漠を駆ける二人の女性。
一人はくるくるの金髪に褐色の肌の小柄な体格の女性。
身長は150cm程で子供にしか見えないが、彼女は歴とした成人女性。
行商を生業にしているアミスと言う女性だ。
アミスの後ろにはもう一匹、大量の商売道具を乗せたシャルモスが追従している。
そしてもう一人の女性はアミスと対称的に高身長。
木綿で出来たローブを纏い、顔はフードに隠れ一見男か女かは分からない。
が、マントの上からでも分かる豊満な胸が、女性であることを主張していた。
アミスは行く先にヴォルテナの街を発見すると、声高らかにローブの女性へと声をかけた。
「ノエルちゃん! あれが砂漠の要塞都市ヴォルテナだよ! いやぁ、やっと着いたねぇー」
「着いたって、まだ結構離れてるじゃない。それに嫌よ。また蜃気楼だったってオチは」
ノエルの冷ややかな言葉に、やれやれと苦笑いを浮かべながらアミスは返す。
「相変わらずクールだなぁ。ノエルちゃん。アミスちゃんとはヴォルテナに着いたらお別れなのにぃ」
「そうね。感謝してるわよ。ここまで案内をしてくれたこと」
抑揚の無い淡々とした口調。
本当に感謝しているのかしていないのか。
ヴォルテナの町を目的地とし、砂漠を七日間共に旅をしていたアミスは、ノエルの冷めた態度は気にするだけ無駄だと、もう諦めていた。
「アミスちゃんも感謝してるよ。砂漠越えにはいつも魔物対策にガードを雇うんだけどね。ノエルちゃんが着いて来てくれて良かったぁ。始めは半信半疑だったけど、女一人旅を続けて来たってだけはあるね!」
アミスはこの七日間で何度も魔物と遭遇し、その度にノエルに助けられて来たのだ。
最初は傭兵でも無い旅人のノエルに、身を守ってもらうのは気が引けた。
だが今はノエルの強さに一目置いていた。
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