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「ヒロトは強いね。でも泣きたい時は思いっきり泣いて。これから先、いろんな出会いや別れがあるけど、ヒロトは人の為にちゃんと涙を流せる優しい子でいて欲しい」
「それ……いつかお前もいなくなるってこと……?」
ヒロトは少女の二の腕を掴むと、身体を少し離し、涙に濡れた目に少女の顔を映した。
ヒロトの問いに、少女は愛しさと悲しみが入り混じった微笑みを返す。
「……うん。ずっと一緒に暮らして来たけど、ずっと一緒には生きられないよ。私達は違う想いや生き方があるんだから……」
自分と同い歳なのに、何処か達観した少女の言い草を、ヒロトは首を横に振って否定する。
そんなこと言わないで欲しいと。
ずっと一緒にいて欲しい離れないで欲しいと。
少女はそんなヒロトの無言の訴えを察しながらも、言葉を続けた。
「でもね、別れの辛さを乗り越えられるように人は出来てるんだ。だからヒロトも大丈夫。私がいなくなったって、ヒロトは強く生きていけるよ」
「…………だ……」
「だってヒロトは強い子だもん。それでね、ヒロトの本当に大事な人を見つけて、その人と一緒に幸せに生きていくの」
「嫌、だ……」
「大丈夫。この先、色んな別れに寂しい思いをするだろうけど、それはヒロトが一人ぼっちになるってことじゃないから……。だから……」
「嫌だ!!」
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