第零章~音ズレ

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掴んでいた二の腕に、力を込める。 腕が赤くなっても、己の爪が食い込み、少女が一瞬痛みに顔をしかめても、ヒロトは溢れる衝動を抑えられそうには無かった。 「嫌だ……。俺は絶対お前と離れない!!」 少女と離れたくない。 孤独に怯えるその想いを、一心不乱に少女にぶつける。 迷いのない、ただ純粋に目の前の少女を求めるその想い。 ――あぁけれど……―― 「絶対に離さない絶対に離れない!! 俺はお前を一人になんかさせない!!」 この時から、ヒロトと言う存在の心は、歪みを生み出し始めていた。 それこそ、『世界』を変革させる程の狂気を。 「ヒロト……」 「例えお前が死んだって……俺はお前を諦めない!!」 『一緒に生きよう?』
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