招待状Ⅰ 第2 知らぬ土地

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「森。」 「そうだね。森だね。」 木々が並び何処からか獣の声もする。 周りを見渡しても人工的な道は無く あるのは、獣道だけだろう。 「シズク、手紙と箱があるよ。」 ヒューの言葉に雫は振り向き足下を見ると黒い箱と手紙が一枚あった。 雫はその手紙を手に取り内容に目を通す ーーーー ようこそ、名も無き世界へ。 その世界に名前はありません。 ですが、町や国その他の様々なものは存在します。 では、改めて この度は、私の願いを聞いていただき ありがとうございます。 つきましては、先程の手紙にも書かれたように力を受け取りください。 救っていただくのです。 前払いのようなものです。 指輪はお持ちですね? その指輪を箱に近づけて 『開け』 と、唱えてください。 中に本とチーズがあります。 本は、雫様に チーズはヒュー様に 本の概要は最初のページに書いてありますのでお読みください。 チーズにも特殊な力の源が付加されておりますので、ヒュー様しっかりお食べくださいませ。 わざわざ好物にしたのですから。 雫様もお楽しみください。 ーーーーー 「なんだろうね。嫌みをチラッと言われたような気がしたんだけど」 「気のせいですよ。」 「本当は?」 「わざわざ用意するのは、めんどくさかったんでしょうね。」 雫は、大きさ的に親指にしかはめられなかった指輪を近づけ 「開け」 唱える。 それと、同時に箱が開き手紙が黒い炎で燃え尽きた。 「いきなり、発火とは危ないね。」 「そうですね。」 特に表情を変えず。 雫は、箱の中を覗く。 そこには、黒い黒い本 箱自体も黒いが、その中に置かれても浮くような黒さ。 そして、金のチーズ 「シズク、これは本当食べれると思うかい?」 「ヒューなら、行けますよ。」 「それは、本気で言ってるのかい?」 「私は、食べる気しませんが。」 はぁ、とヒューは溜め息をついて、黒い中で輝く金のチーズを見つめていた。
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