招待状Ⅰ 第1 始まり

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「相手は、誰だろうね。 この世界がシズク1人と知っているみたいだし… 何をどう助けて欲しいのかも書いていない。 1人の世界に手紙とは、珍しいね。」 手紙を読んだヒューが思った事を告げる。 この世界には、人と呼ばれる存在は雫1人。 雫自身、何故居るのか分からない。 ただ、気付いた時にはヒューが居て。 気が遠くなる程の時が過ぎた。 「どうするんだい?シズク」 ヒューは気付いていた。 表情は変わらずともこの手紙に期待をしているシズクを。 だから、敢えて聞いた。 彼女は聞かなければ答えない。 そこで、期待して終わってしまうのだ。 「行ってはみたいですね。 ですが、これはヒューも連れて行く事になりそうです。」 手紙を見つめながら 淡々と喋る雫。 これが彼女。 表情なんてものは忘れた。 自分がいくつなのかも忘れた。 そして、世界は彼女から老いる事も忘れさせた。 実際、雫は百以上。 だが、精神と肉体の成長は止まり。 変化無き世界で死を待つのみ。 だから、変化に期待を持った。 忘れていた不思議な感覚。 だが、彼女はどうしたらいいか分からないのだ。 「僕は、シズクについて行くよ。 ここに残るとしても 行くとしてもね。」 ヒューはベタッと頭の上にうつ伏せになる。 「ありがとうございます。」 雫は近くにあった石を取り。 手のひらを抉る。 「痛くないのかい?シズク」 「痛いですよ。」 雫は自分の手を血が出るまで抉り 表情も変えず、ただ淡々と返事をする。 そして、白紙の紙に血を垂らすと 文字が浮かび上がった
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