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甘味屋に着いて品書きを見ていると、彼女が「う~ん」と唸っている。
「どうした?」と聞くと、「字が読めません。ミミズみたいで…。」と言ってきた。
「字が、先の世とは違うのか?」
「う~ん、先の世ではもっとはっきり書きますね。分かる字もありますが……。」
「そうか。では食べたいものはあるか?」
「餡蜜、餡蜜が食べたいです!」
「なら、餡蜜にしよう。」
「餡蜜二つ。」と斎藤さんは店員さんに頼む。
二人でお茶をすすりながら餡蜜を待つ。
俺はふとした疑問を彼女にぶつける。
「神崎は一人でこの時代に来て家族が心配ではないのか?」
すると彼女の顔が曇った。
「あの人たちは私がいなくても全然問題ないですよ。」
悲しそうに言う。
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