斎藤さんと一緒

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「家庭内別居って知ってます?」 「かていないべっきょ?」今の時代にはない言葉だ。 「同じ家の中で夫婦が別々に暮らすという意味です。」と神崎は渇いた笑いを浮かべ、話を続ける。 「母が一階、父が二階に住んでいて、食事は別々にとるんです。だから屯所に来たとき、みんなでごはんを食べるのを見て凄く嬉しかったんです。家族みたいで。別に、食事を一緒にとって気まずい思いをするよりも、1人の方が気が楽でいいと思ってたんですけど、全然大丈夫だと思ってたんですけど、本当は大丈夫じゃなかったみたいです……。」 驚いた。彼女はいつも笑っているから脳天気な娘だとばかり思っていた。でも、傷ついていたのだ。 すると彼女は続けた。 「他にも…小さい頃に祖母に受けた虐待とか、友達からのいじめとかがあって、私、摂食障害になってしまったんです。」 「せっしょくしょうがい?」 「はい。拒食症という何も食べられなくなる気鬱の病気と、過食症という食べて食べて食べまくる病気を患いました。」 続けて彼女は言う。
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