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オレは爺の眼をまっすぐ見つめて言葉をつなぐ。
「どんなにやりたい研究があったとしても、他の学研都市を探ってもそれをやってなかった。
ここは探ってもわからなかった。
学研都市の頂点のことは何も。
だからここに来たんだ、可能性にかけて。
結局やってなかったがな。
でも、一度ここに入ったら、もとの街には帰れないんだよ。
ラボマスターになれるなら、新しく始められる。
だが、オレではせいぜい助手止まり。
せめて、自分らしくいられるラボに入らせてくれ。」
感情をこらえこらえやっとそこまで言って、
爺にはじめて頭を下げた。
「面白いお話ね?」
ヒールの靴音と共に声がして、オレ達は凍りついた。
「…ケイ……」
爺がつぶやいた。
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