晴れ。時々、少女が降るでしょう。

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大きな木の下でぼんやりと空を見上げる。 あの日、あの時、爺にケイと呼ばれた女は、爺の身内だった。 どこかで見たと思うが思い出せなかったら。 「あなた、あんまり通路の近くにいないで欲しいわ。 女の子達が見とれてなかなか前に歩いてくれなくて邪魔だもの。」 「?!」 そう、デリを待っている時、女子学生を追い抜いて背筋を伸ばして歩いて行った女教師だったのだ。 「珍獣見物してただけだろ。」 かろうじて言い返す。 「くす、知らぬは本人ばかりなりね。」 やっと、息を吹き返した爺が 「ケイ、コイツを知っとるのかね?」 と問う。 「ええ、グリフ、女子学生達が騒いでいるみたいね。 非常勤講師をしていると色々と聞こえてくるのよ。 当人は外からの転入者なのがコンプレックスみたいだけど? 視線の意味もわからないくらいにね。」 その当人を前に言いたい放題言って急にこちらを向く。 「それよりあなた、名前と興味のある研究について教えて?」 こちらを振り向いて聞いてくる。 この女はラボマスターで気まぐれに学園で非常勤講師をしているということだった。 「正直に、隠し事無しでおねがいしたいわ。 時間の無駄だから。」 最後にズバリ一言付け加えキラリと目を光らせると腕をくみ聞く体制になった。  
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