さめたこころ

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女教師から邪魔だと言うように、女子学生達に一瞬視線が投げられる。 しかし、それでも女子学生達はスピードを変えずに時折こちらに視線を投げながらタラタラと歩いている。 そんなに珍しいか? スリープシープに転入してすぐはともかくここに慣れてからは、自分で心がけたこともあってそういった視線には、いつもは、軽くめんどうと感じる以外に、ほとんど何も感じないようになっていた。 しかし、朝の臨時休講などの予定変更に始まる細かなつまずき感などが重なったせいか露骨な態度の人間が何人も通りそれが長時間になってきた今は、苛立たしく、うっとうしいのは確かだった。 そんな思いをしても、仕方なくここに居るには訳があった。 ここからだとカフェテリアの厨房の様子がよく見えるのだ。 予約したデリの出来上がり具合と壁の時計のおかげでいちいち端末をとり出さずに今の時間の確認するのに都合のよい場所なのだ。 時間的に混んではいるが、テラステーブルも店内テーブルも相席するほどでも無く、丸ごと空いている所もチラホラあった。 だが、あえて座る気分にはなれなかった。 今は、オレがここに居ることにカフェテリアの客たちは慣れて、もっぱら庭を挟んで向かい側の建物の外通路を通る者たちの視線だけになってきていたが。 さざめきながら静かに流れている水面に石を投げ込む趣味はなかったから。 今日は、デリのスタッフが少ないらしい、もう少しかかりそうな気配でオレの忍耐も、もう少し必要そうだった。  
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