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「ん゛ー、久しぶりの味じゃ!
んまいのう。」
爺はオレの運んだ中身が一杯の、特大ペーパーバック2つから出した、デリを馬のごとく、平らげていこうとしていた。
「待て、オレの分まで手を出すなっ!」
「おや?お前さんもいるのかね?」
「…………」
この爺と話すと、どうにも調子が狂う。
脱力するオレをいっこうに気にせず、全く手をとめる気配なしに食べ続ける。
「二度と買って来んぞ、爺ぃっ!」
ピタリと手が止まり。
「おやおや?
若いのに、どうしたんじゃ?
もっと若いもんは、しっかり食べるもんじゃぞ?
でないと、大きくなれんぞ?」
と、胡散臭くもウソくさい笑顔で、さっきオレが用意したポットから、かいがいしく茶を注いでよこしたり、ゴソゴソしだす。
「なあ、研究手伝わせてくれ。
爺さん、ラボマスターなんだろ?」
このスリープシープで各研究ごとのトップ、ラボの最高責任者はわずかに14名、後はみな助手やスタッフになる。
一般都市で助手や研究スタッフを含んで呼ぶ「学研都市の教授」と違い、ここで「教授」と呼ばれ、ラボマスターの資格を持てるのは一握りなのだ。
そして、14名のうち2名のラボの場所と研究内容が非公開とされている。
もっとも、この話は機密情報と同じ程、教授以外の人間達には知られていないものらしいのであるが…。
下手すると、アカデミーの警備部に拘束されて、闇から闇に…などということがあるのかもしれない。
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