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「奏太、私達を忘れてる。」
と、いつのまにか奏太の後ろに迫った螢がぼそっと抗議する。
「はわわっ・・・ごめんごめん。」
「全く、ひどいじゃないか。」
と、明希さんが追撃する。
今日も流れる黒髪が美しいです。
「あうぅ・・・ごめんなさい・・・。」
しゅん、と俯いた奏太も良いな。
「大丈夫、落ち込まないで。」
などとぬかしつつ螢が奏太の脇腹をくすぐる。
「ひゃわっ!?や、やめてよぉ・・・。」
こいつは全く・・・。
「さ、そろそろ行くぞ。」
「あう。」
「んっ。」
ポン。と奏太のポニーテールもどきを搭載した頭と、螢の、肩まで伸びたフワッとしたボブの頭を小突いてから俺は歩き
「奏太せんぱぁああぁあいっ!」
出そうとしたのだが、突然の奇声と共にやってきた闖入者のおかげで、俺は立ち止った。
「もー、奏太先輩ったらいつまで待っても来てくれないので待ちくたびれちゃいましたよー。」
「わかったから!わかったからお願いだから抱き付かないでー!」
ギュウウウと、奏太をホールドしているのは、一つ下の愛川実梨「あいかわ みのり」。
4月に入学して、わずか一週間で奏太に「私の嫁になって下さいっ!」と、よく分からな
い告白をして、それからずっと俺らにつきまとって・・・いや、もう彼女も今ではグループの一員だ。
同じ位の背丈の二人が抱き付いたり抱き付かれてたりするのを見るのは非常に目に毒だ。
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