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手に持った89式小銃の、無機質な冷たさと、意思を持ったかのような重さと硬さが、心に入り込んで来る。
「行くぞ。」
いつものメンバーに、いつもと違った緊張感が走る。
いつもと違うのは雰囲気だけではない。
着ている迷彩服は全員、自衛隊迷彩2型。
日本の植生に合わせたその迷彩柄も、街中では植え込みの中位しか効果を発揮しないだろう。
手に持った銃は89式小銃。
少々時代遅れになってしまったが、未だ陸上自衛隊で現役の5・56ミリ口径のアサルトライフルである。
高い命中率と信頼性を両立しており、「防人の矛」として今日も活躍している。
…………が。
「まさかこいつで自衛官を撃つ事になるなんてな……。」
誰とも無しに、手に持った銃へ話かける。
それは、今から自分が人を殺すという事を再確認する行為でもあった。
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