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それからの事はよく覚えていない。
考え事をしているといつもそうなってしまうのだ。
とりあえず迷彩服以外の装備。
ヘルメットやら銃やら弾倉を受け取った。
89式の操作方法を説明されたのはぼんやりだが、覚えていた。
そのあと、いつの間にか設置されていた車道の向こうの的に3点バーストで全弾を人型の的の頭に叩き込んだりもした。
気付いたら反動で肩がジンジンと痛かった。
十和田さんが目を見開いて「あたしより上手いじゃん……。」って言ってたのはハッキリ覚えてる。
それで、それから。
「………えっと、何だって?」
「もー、トモったらちゃんと聞いてなきゃダメだよー。今から習志野に攻め込むんだって。」
ガタガタ揺れる3トン半トラックの中。
ハッと我に帰った俺が、何故トラックなんぞに乗っているのか。
と、問うたら奏太が答えてくれた。
けどさ。
「しっかし、チュートリアルで習志野なんてどうかしてるぜ。ラスボスってんならまだしも。」
千尋が俺と同じ感想を漏らす。
そして実梨がボヤく。
「っていうか空挺団だけでも勝ち目無いのに、特作までいるんですよ?初戦は黒星確定じゃないですか………。」
そう。何故、俺達が「習志野」を恐れているか。
それは単純に強いからである。
習志野第一空挺団。
ガチムチな陸自の隊員達からも「狂ってる」と言われる程の精鋭が2000人も集まって編成された陸自唯一の空挺部隊である。
さらには特殊作戦群。
陸自唯一の特殊部隊で、200名程の戦力である。
上記の空挺団すらも恐れる、国家機密に包まれた部隊である。
これらの、陸自の歩兵戦力を上から順にかき集めたような人材が揃っているのが、千葉県の習志野駐屯地なのだ。
少なくともチュートリアルで、しかも近いからという理由で攻め込んで良い相手じゃない。
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