1章

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授業もろくに頭に入らず気付けば昼。 「統、購買部でパン買いに行きましょう」 「あ、あぁ。先行って俺のも買っといてくれ」 そう言って席を立つ。 「いいですけど、どこ行くんですか?」 …煉に黙ってるわけにはいかねぇな 「初等部だ。俺、カレーパンだからな」 「あ、統ー!」 煉の声を背中で聞きながら俺は教室を出て初等部の校舎へ向かった。 高等部から初等部に行く廊下を走って6年の教室へ。 「ハァハァ……神崎 健太は居るか」 ちょうど昼で購買や食堂に向かっているせいで人も少ない。 「は、統お兄ちゃん」 教室の片隅でまだ声変わりしてない子供の声が聞こえる。 「健太。話がある」 「話し?」 健太は怪しく思ってるだろうが来て貰わなきゃ困る。 遠慮がちにドアで仕切られた教室側に立つ。 「な、何?」 「話しがあるんだよ………俺について来い」 健太に言い残して高等部に向かう。 途中、健太がちゃんとついて来てるか後ろを振り返りながら確認する。 よし、ちゃんとついて来てるな
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