一ヶ月

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すると狐火は自己紹介を終えた後、直ぐにこんな事を言い出した 「夏々は私を覚えてる?」 何故こんな質問をしたのか正直よく分からなかった、だけど少女は俯きながら正直にこう言った 「実はね、あなたが誰かよく分からないの」 夏々は瞳に涙を溢れさせながらそう狐火に答えた。其れを見透かしていたかのよう狐火は、やっぱりね。と知ったような口振りで呟く 勿論、彼女に何故夏々の記憶があまり無い事に気付いていたのかを迷わず問いただす 「一体どうして?」 そう問いかけた瞬間、少女は窓の方をみながら微笑を浮かべてこう答える 「記憶を奪う何か、それがヒントよ」 狐火はそう言うと、再び窓の縁に座った。彼女が座る姿。金色の髪を靡かせる、そしてその髪に着けている鈴の付いたリボン。それは窓から入ってくる風に揺れ 美しい音色を奏でながら少女の金色の髪を際立たせていた、暫くすると。少女は窓から部屋に降り何かを伝えようと口を開く 「白幻あの……」 しかしその瞬間、風が外で木々を揺らす。その音のせいで彼女の言葉が上手く聞き取れなかった (えっ?) 私が戸惑っていると、狐火はため息を着き。もう良いわ、二度は言わない。呆れたように少女は肩を竦めながらそう言った、軈て彼女は苦笑を浮かべて窓を眺める、次の瞬間。狐火は空を歩くかのようにステップを踏んで、何処かへ帰って行ってしまった 「待ってよ!」 私は少女を呼び止めた、しかし狐火はこちらを見向きもせず空を歩く。と思ったら今度は地上に着地し、鈴蘭神社の方向へ歩いて行った。何故急に地上に降りたのだろう、ふいにそんな事を思った だけど、その理由は直後に明らかとなる。背後に迫る何かを無視するよう、少女は振り返りもせず神社の方へ歩いていた (これで良いのよ) ――私は後ろの者の気配などとっくに気が付いていた、だがあえてわざと後ろにいる者を鈴蘭神社まで導く事にした 「くすっ、あー。可笑しいわ」 私はご機嫌な気分になる、後方から自分を追ってくる人があまりにも愚か。そう考えて思わず笑いながら神社に向かう、そして目的の場所まで辿り着くと 私はここで漸く振り返る、しかし自分の後ろを見ても誰も居なかった (気のせいかしらね) 「気のせいじゃないよ」 何処からか何者かの声が降ってきた、だけど尚も余裕を見せる彼女は。笑みを浮かべながらそう訊ねる。しかし周りを見渡すが
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