一ヶ月

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辺りはシーンと静り返っていて、人の気配や猫が居る気配さえ無かった。現に後ろを振り返るがやはり何か生き物が居ると言う様子が無い、何処かへ隠れたのか。一瞬そう思ったがこの辺りは、生き物や人が隠れられる場所など見あたらない あるのは神社に生える木々が数本に、一面の鈴蘭の花畑が広がっているだけだ。流石にこの異様さには驚かせられた、だけど何者かが私の跡を追ってきたのかはおおよそ予想はついていた 「あれっ?」 ふと真上を見上げると、雲一つ無い空が急に暗くなり始める。暗くなり始めた空を見上げながら私は笑う、そして再度辺りを見渡してみた。すると先ほどまでは居なかった何者かが自分の目の前に立っていた (はぁっ) ため息を着き、ゆっくりとその人物を睨むよう凝らす。そしてその何者かにこう問いただした 「あなたは誰なの?くすっ」 まだ余裕げに私は笑う、自分には恐怖と言う感情があまり無かったのかも知れない。だから余裕げにいられた、声を掛ける矢先。風が吹き周りの木々がその風によって激しく揺れた 流石にこれには恐怖を感じた、まさか風を自在に操るみたいな事が出来るなんて。思いもしなかった為にその脅威の光景に身動ぐ 「誰なの、正体を現しなさい!」 私は、姿さえ見えない人物にそう大きな声で問いただす。だがその何者はただこちらを見ているだけで何か話そうとする予想は無い (何者なの……) 半ば焦りさえ感じ始め、次第に余裕の表情が消えて行く [狐火、一体これは?] そんな時、狐鳥が鈴蘭神社の階段を登りながらこちらへ声をかけてきた。しかし次の瞬間 [うわあああ!] 少年は断末魔のような叫びを上げ、階段の所で倒れる。一体何が起きたのか意味が分からずただ呆然と少年を見ている事しか出来なかった (このままじゃ、まずいわ) 私は覚悟を決め、ここは一端退却する事にした。階段の所で倒れている少年を両手で持ち上げて、私は呪文を唱える 「汝の力を我に、妖力変化」 そして狐の姿に変身し、彼を背中に乗せて走る。しかし階段を走るのには流石に動物では無理があった、仕方なくその場所から勢いをつけて飛び降りる、 しかしその反動は凄まじく、足を負傷した。だがそれでも必死に逃げる、だけど私はもう少しと言う所で意識を手放した、それからどれくらい時間が経ったのだろうか。眼を開けると私が倒れていた場所が外ではないと分かる (ここは?) その場所には
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