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だった
「ここに来るのも一ヶ月ぶりね」
私は一月程前に、この場所雪原に来た事がある。でもあの時はまだあの少女が居た、それは彩夏の事だ。ここを燃やせばバーチャル異空間を一部破壊出来るかを考えた、この場所は異空間の一部でもある。つまりこの場を壊す為にここを訪れた
「誰も居ないなんて、無用心ね」
笑みを浮かべると彼女は辺りを見渡した、相変わらず雪原と言うだけあって。周りは見渡す限り真っ白な世界が広がっている
(そう言えば、ここには雪女が居たのよね)
ふと、その事を思い出していると。ふふっ、命知らずの狐ね、と何処からかそんな少女の声が聞こえた。次の瞬間、ひやりと冷たい冷気が辺りを渦巻く
「寒っ!」
「久しぶりね、狐」
私の真上に浮かびながら、少女がこちらを見て笑っていた。いつの間に頭上に、そう思っていると。何かが私の背中に突き刺さった、どうやら雪女に不意討ちをされた様。背中には鈍い痛みが走る
「うぅっ」
ついには立っていられなくなって、その場にうつ伏せになった。私の周りには赤黒い液体が溢れ、それはじわりと雪に染み込んでいた。その箇所は真っ白から真っ赤に染まる雪へと変わり、それを見た瞬間恐ろしいくらいの絶望と言う恐怖を感じた
「まさか、不意討ちされるなんて……」
私は絶望を感じながらその場にうつ伏せのまま倒れた、矢先
「見張りを怠ったら、何かまずい事になっているな」
少年が狐火の所まで近付いて来た、はぁっとため息を着きながら地面に座り込む。まだ、この雪女と言う生き物が何なのか不明だから困ったものだ。そしてそう呟きながら、持っていた刀を雪女に投げる。直後刀は見事に命中した
「うぅっ、負けない……」
少女は腕に刺さった刀を片手で触れると呪文を唱える、するとみるみるうちに少女の腕の傷が癒えた
(ふうっ)
彼女は一息着くと、ナイフをこちらに向けた。ギラリと光る銀の刃先は少年を震撼させる
「一体、何が目的で人を殺そうとしているんだ」
――俺は、驚きながら少女に問いただす。すると彼女は答えた
「ふふっ、私の目的など他人に言える訳ないわ」
「まさかと思うけど復讐?」
口を閉ざす少女に、少年は思った事を質問する。途端に見事に彼女の目的を言い当てたのか、彼女は酷く慌てる様子を見せた
「何で分かったの?」
少女はナイフを地面に捨て此方を見ながらそう訊いてきた
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