第五場 赤い別れと憎しみと

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「お前、名前は?」 ……は? 「何を今更「いいから、答えろ。」……四ノ宮月乃。」 「性別は。」 「……女だ。」 「歳は。」 「17。」 「……職は。」 「板前。」 「家は。」 「佐吉さんの所。」 いったいこいつは何が言いたいんだ。 「……じゃあ、お前は本来ならどこにいるはずだった?」 「職場だ。食材の買い足しに………。」 そこまで言ったところでさっきの光景がフラッシュバックする。 むせ返るような濃い鉄の匂い。 目が眩むような赤。 そこに横たわる三つの………。 バッと土方を見る。 「……佐吉さんはどこだ。」 「…………。」 ―――本当は知ってる。 「孝次郎さんは?お春さんは?弥助は?」 ―――全部、わかってる。 立ち上がり、背を向けて煙管を吸う土方につかみかかる。 「皆は…皆はどこに!?」 ―――知ってる。 ―――わかってる。 ―――でも、認めたくない。 「答えてよ!」 ―――私の望む答えを。 「……もう、いねぇよ。」
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