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一番見られてはいけない人に見られてしまった罪 悪感と恥ずかしさ。
『すごいじゃん! チヒロちゃん、天才画家だ ね』
そして憧れの先輩の賛辞に、僕は自分の制服のス カートの裾を握りしめたまま、耳まで真っ赤に なって硬直してしまったのを良く覚えている。
けれどそれがきっかけで僕達は急速に仲良くなっ ていった。
その年、卒業式の日に告白した。
もちろん玉砕覚悟だったけど、マキ姉は戸惑いな がらも奇跡のOKをくれた。
それから5年つき合って、別れて、3年経ち……今 にいたる。
『あたし達、もう前に進まないといけないよね』
マキ姉のその言葉で僕達は別れた。
高校の時も、一緒に生活していた頃も、そして今 も……マキ姉は相変わらず、だ。
良く笑い、良く泣き、良く怒り……なんかこんな歌 あったな。
でも僕が一番好きなのはマキ姉の……。
「ヒロ……ヒロ……。ねえ! チヒロ! 聞いて る!?」
「えっ?」
ああ、しまった。
少しほうけていたみたいだ。
「ごめんごめん」
「もう! 蛙はともかく、透明なはずの雨にだっ て水色のイメージがあるじゃない。普通は」
“普通は“に力を込めて片眉を跳ね上げるマキ姉。
ひねくれてるのは……素直に認める。
「ヒロから見たあたしのイメージカラーは何色か なって」
「黒と肌色」
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