いち。

6/6
前へ
/6ページ
次へ
「……浅見って、案外可愛いのな」 授業終わりのチャイムに紛れて、結城君が言ってきました。 「え?」 それは唐突だったので、びっくりしましたが、きっと聞き間違いだろう、と、あまり深く考えないことにしました。 「教科書有難な」 そのあと、そんな言葉が聞こえて、私は結城君に微笑みかけました。 しかし、すぐに結城君は俯いてしまい、私は、何も伝えられませんでした。 やっぱり私なんかが話しかけるのは、駄目でしたかね。 これまたあまり深く考えず、私は6時間めの準備を始めました。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加