ハンターと猟師

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─タービア国 キャルム 「はえ~、これが王都だか! えれぇでけぇ建物ばっかだなや!」 「……って、なんで着いて来ちゃったんですかぁ!」 結局、アーサーは気紛れなのか何なのか分からないが、フィレナに着いて来たようだ。 本当に片田舎の出身のようで、周りの建造物を見て大層驚いている。 「いやぁ、なんでって……俺、王都に来た事なんか無かったかんなぁ。ぺっこ見てみてぇなと」 「はぁ、もう……」 と、フィレナは呆れたようにアーサーの手を引っ張った。 「あり? どこさ連れてくんだ?」 「一応、ハンターギルドに連れて行きます。一人だと心配ですからね!」 「ありゃりゃ、子供扱いされちまっただ」 ─ハンターギルド・キャルム 「ここが、私の所属しているギルドです」 「意外とこざっぱりしてんだな。何かこう、くっせぇもんを期待してたっぺよ」 「くっせぇもんって……」 イメージが出来ると言う事は、一応アーサーもハンターギルドは知ってるようだ。 ハンターの存在を知ってたと言う事は、ギルドも知ってておかしくはないのだが。 すると。 「おやフィレナちゃん、おかえり」 「ハルクさん! ただいま戻りましたです!」 清掃用具を持ったハルクが、ギルド内部から現れた。 まめである。 「うん、依頼は達成出来たようだね……ところで、そちらは?」 「おっす」 「ちょ、アーサーさん!? いくら何でも不躾すぎますよ!」 こんな挨拶でフィレナがこんなに慌てふためくのは、ハルクは怒ると怖いという噂があるからだろう。 しかし「おっす」は確かに、初対面で無礼かも知れない。
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