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「あ、私ミーナって言うの。よろしくね! ……えーっと」
「あー、俺はアーサーってんだ。よろしくな」
「アーサー兄貴!」
「あ、兄貴ィ?」
いきなり兄貴と言われて、戸惑ってしまうのは仕方無い事だろう。
と言うより、ミーナはそういうのが好きなのだろうか。
「兄貴って何だべや? 俺はお前とは縁もゆかりもありゃしねーべ?」
「あはは! 変な喋り方ー!」
「 」
あまりにもフリーダムすぎるミーナの思考回路。
八重歯をちらつかせて可愛らしい笑顔を見せるが、内容はアーサーにとってショッキングなものだった。
「フィレナ……俺の口調、やっぱ変なんか?」
分かりやすく落ち込み、膝を抱えて踞った。
「そ、そんな事無いですよ!? 私は少なくとも変とは思ってないですから!」
「あれ? どしたの?」
「もぉ、ミーナさん!」
ミーナには本当に悪気は無く、ただ自分の気持ちに正直になっただけなのだ。
よって無罪……か?
「えーっと、何だかごめんね?」
素直な良い娘。
もう17歳になるが。
「別に構わんっぺよ……頑張って変えてくっから……」
「アーサーさん? 別に、無理して変えなくても良いんですよ?」
「フィレナ……」
今のアーサーにとって、このフィレナの優しさは癒されるものがあった。
アーサーは涙ながらにフィレナに顔を向け……
「それに……アーサーさんがその口調を止めたら、キャラが薄くなっちゃうじゃないですか!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ! フィレナのあほぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
そして、逃げた。
「え、あれ? アーサーさん!?」
「フィレナ……」
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