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─城下町
「な、なんでこの街はこんなに広いんだろ……」
三年前から分かりきってる事を、今更愚痴にして吐露するフィレナ。
首都とはそんなものだろう。
「てゆーか、アーサーさんは本当に大丈夫でしょうか……」
ギルドへ走りながら、アーサーの心配。
人が良いのか良い人なのか。
すると……
「おい、聞いたかよ」
「あぁ……宿屋で反神術派の奴が捕まったらしいな」
「え……?」
何やら、不穏な話が聞こえてきた。
どこの国にも、必ず神術を畏怖する人はいる。
かなりの過激派で、反神術派は神術者の殲滅を望んでいるのだ。
大体は行動が表に出過ぎて、警備員や正規軍の騎士に捕えられたりしているが。
「怖えよな……」
「俺、神術とか持ってなくて良かったぜ」
「………………」
神術者は見境無く反神術派に殺される。
うっかり発動してしまえば、その時点で死と隣り合わせなのだ。
「つ、捕まったのなら大丈夫ですよね……早くギルドに向かおっと」
─ハンターギルド
「あの、ハルクさん! お待たせいたしました!」
と、フィレナは威勢良くハルクに到着を伝えたが……
ザワ……
ザワ……
「あれ?」
何やら、ギルド全体が壁に掛けられている瓦版に注目していた。
「すいません、どうされたんですか?」
「あ、フィレナちゃん。いや、これなんだけどね」
「?」
その瓦版に貼られていた号外は……
「あっ」
〔反神術派がまた暴れる! 宿屋で暴れ、暴言を吐きながら逮捕〕
先程ちらっと耳にした、反神術派の記事だった。
手書きで刷っていない簡易的な記事。
それにしても早過ぎる。
「あの、これっていつ起こった事件なんですか?」
「フィレナちゃんが出て行ってからすぐだよ。巻き込まれなくて良かったね、フィレナちゃん」
「はう……は、はい」
ハルクは優しく、恐怖を忘れさせるようにフィレナの頭を撫でてあげた。
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