ハンターと猟師

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「本当に、馬鹿だよね。目立ったら意味が無いじゃないか」 「……え?」ゾワッ 一瞬、寒気がするほどの冷酷さを帯びた声が聞こえた。 間違いなくハルクのものだが、いつもよりドスがきいたような声。 まるで、鋭利な刃物みたいな…… 「それよりフィレナちゃん、報酬を受け取りに来たんだろう?」 「あ、は、はい!」 そしてまた優しい声に戻った。 今のは何だったのだろう…… そう思ったフィレナだが、気のせいだと首を振るのだった。 「いらないのかい?」 「い、いえ! 何でもないです!」 首振りが表に出ていたようで、ハルクにあらぬ勘違いをされてしまった。 「じゃあ、はい。報酬の2000ガルドね」 「ありがとうございます!」 オタオタの駆除だけで2000ガルドは、かなり美味しい仕事だろう。 時間は掛かったので、実は見合った報酬だが。 フィレナが封筒を胸に抱え、ほくほくしていると…… ドォン……! 「え……!?」 突如、遠くの方で爆発音が響いた。 街中で爆発音など、普段は有り得ない。 ギルド内に不穏な空気が流れ出した。 「なんだ?」 「さっきの爆発音の方向……もしかして!?」 「フィレナちゃん!?」 フィレナには音の方向に見当があるようだ。 一抹の不安を察し、急いでギルドを後に。 そして、全力疾走である場所へ向かっていった。
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