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「えっと、それで……この状況なんですけど……」
フィレナは涙を拭き、周りを見て惨状を再確認。
「あぁ、ひでぇもんだべや。なんでこんな事になっちまったんか……」
「恐らく、反神術派の行動でしょう……多分、身内が捕えられたからだと思います」
宿屋の一件が、この惨状を生み出したのか。
それにしても酷すぎる。
まったく関係無い人々も巻き込むとは、過激派も度が過ぎている。
「あー、あれか。けんど、こんだけ……」
「……アーサーさん! ミーナさんはどこにいますか!?」
何かに気づいたように、フィレナはミーナの所在をアーサーに問うた。
「え? あ、あの娘なら、戦いに混じってどっかで……」
「あの人は神術者なんです! 反神術派が狙うなら、間違いなくあの人です!」
「な……そ、そうだったんだか!?」
普通の人間に、人が持つ神術を感じる事は難しい。
ミーナの立場を知らないアーサーは例外だが、王族且つ神術者なら真っ先に狙うだろう。
ミーナの場合、自分から言わなくてもいつの間にか知れ渡る。
危機を感じた二人は、急ぎミーナを探しに走り出した。
─城内
「ここまで侵入してるなんて……」
城の中も、反神術派が蔓延って暴れ放題。
城に駐屯していた兵も総出し、暴徒を沈静しにかかっていた。
「早く捜さねえと、やばいかも知んねえぞ」
「でも、どこから捜せば良いのか……」
すると……
ドシャァァァアアアン!
「な、なんだぁ!?」
「雷……?」
城内だと言うのに、かなり鮮明に雷鳴が轟いた。
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