多情多感

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彼女の指が。 唇に触れた――あの瞬間。 北裕一郎は、青山ありさに恋をした。 あの感触と笑顔が忘れられなくて。 何度も何度も、逢いに来ている。 強引なのは承知しているけど、 どうしても止められない。 一緒にいればいるほど惹かれて、 また逢いたいと思うから。 彼女を自分のものにしたい。 そんな衝動が抑えられなくて。 自分を特別な存在にしてくれることを、 ただただ毎日祈っている。 ……先輩と涼子さん、 少しは売り込んでくれるかな。 仕事で溜まったストレスだとしても。 一番に聞ける距離感じゃないことが、 少しだけ歯痒かった。
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