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「一緒に暮らそう」
言いたくて、でもずっと言えなかった。
こんな機会に乗じるのは、
反則かもしれないが、
チャンスを逃すのは愚か者のすること。
『バカでアホでビビリでヘタレ』とは
言われ、それに『草男』も足されたが、
ここに『愚か者』は羅列させない。
「……うん」
ぶつけた額から、涼子の温度を感じる。
それは、多分いつもより少し高めで。
ほのかに染まる頬が愛おしい。
右手で傘を差したまま、
片手で涼子を抱き締め、キスをした。
あらゆる場所に、触れられるところに。
誰かが見ているかもしれないが、
そんなことはどうでも良かった。
元々、龍平はシャイじゃない。
涼子さえOKしてくれれば、
人前での愛情表現に遠慮はしないのだ。
むしろ。
見せ付けたい意識が強かったりする。
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