1633人が本棚に入れています
本棚に追加
夜道にドスンと重く鈍い音が響いた。
倒れ込んだ人影が呻き、
刃物はその手を離れ数m先に転がった。
それは、小さな果物ナイフのようで、
かなり軽い音を立てて水溜りに沈んだ。
その瞬間、暗闇から足音が響き渡る。
確認した人影は、よく知っているもの。
龍平が、最も信頼する男のものだ。
もちろんシルエットだけでも十分だが、
焚かれたフラッシュのおかげで、
その横顔も確認できた。
無言で倒れた人影に走り寄った勝は、
立ち上がりかけた人影を蹴り上げた。
アゴにヒットしたのだろう。
鋭い蹴りに成すすべもなく、
人影は再度倒れこんだ。
人影をあっという間にひっくり返して、
勝が背中に跨り、後ろ手を確保する。
そこに、別の人影が走り寄ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!