不撓不屈

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スーツ姿の男が2人。 彼らは勝の協力者のようで、1人が ポケットから取り出した何かを持って、 人影の横にしゃがみ込んだ。 その手には、キラリと街灯を反射した 鈍色の輪が見える。 あぁ、警察を連れてきてたのか。 カチャンッ、と。 ドラマの効果音よりも小さく軽快な音が 小雨のちらつく夜道に反響した。 これが、手錠をはめた音なのか。 勝が場所を交代して立ち上がる。 スーツ2人が人影の両脇を挟み、 強引に起き上がらせようとしていた。 人影の位置が変わって。 その横顔が、カメラのフラッシュで、 鮮明に浮かび上がる。 間違いなかった。 意識の朦朧とする顔でも、 龍平には見間違えようがない。 ――宮部、渉だ……。
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