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「私は例の西北線の脱線事故で一度死んでいるのです。その時に私の魂はこの老人の魂と入れ代わりにこの肉体に入りました。私は息を吹き返しましたが、私にあったのは前世の記憶しかありませんでした。
私はリサさん、貴女を必死で捜しました。そして、ついに貴女の家を見つけました。しかし、貴女は家族と共に幸せに暮らしておりました。私は声をかけることも叶わず、逃げるように、その場を立ち去りました。
リサさん、私には貴女の幸せを壊すことはできない。私は、それから一人で生き続けることを決意しました。しかし、ご主人が亡くなられたことを聞き、娘さんが結婚して家を出られたことを知って、私は矢も盾もたまらず、こうして来たのです」
老人はそう言うと、隣りに座るリサの手を握り締めた。リサも老人、いや修吾の手を握り返した。リサの目には既に大粒の涙が光っていた。
「修吾!やっと来てくれたのね。ずっとずっと、私は貴男が来る日を待っていたわ。」
「リサ、僕は君と約束したね。いつまでも、いつまでも、君と一緒にいるって。その約束を果たしたかった。いつまでも君のそばにいたかったんだ」
二人は立ち上がり、強く抱きしめ合った。 完
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