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話が終わると彩乃は、ため息をついた。
「これでリサが男に目もくれない理由がわかったわ。犬ね。犬…」
彩乃は妙に納得しているようだった。
「人間が犬に生まれ変わることって、あるのかしら?」
リサが聞くと、
「まあ、無いことではないと思うわ。むかし読んだ霊能者南條さんの本にもあるって書いてあったと思う。せいぜい、可愛がってあげれば良いんじゃない。でも、間違っても、修とエッチしちゃダメよ。犬なんだから」
「何バカなこと言ってるのよ。彩乃はすぐ話がシモネタにいくんだから」
リサは思わず笑った。
やがて、街に秋の気配がやってきた。
リサはバッグを片手に提げて、修と街に出た。近くの公園に散歩だった。修は尻尾を振って喜んだ。リサは、
「修、覚えている?このバッグは軽井沢で修吾に買ってもらったのよ。」
そう言うと、わかっているのか?修は二度吠えた。
「さあ、行きましょう」
リサは公園への道を修と共に歩いた。細い路地を抜け、通りに出ると右折した。その時、背後からバイクが近づいて、リサの脇をすり抜けざまに、腕を伸ばして、リサの腕からバッグを奪って走り去った。
「あっ」
リサが反動で地面に叩きつけられた。一瞬の出来事だった。
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