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リサは彩乃の子供を見ながら、
「子供って良いな!私も欲しいけど、こればかりは授かりものだから…」
そう、呟いた。
「リサ、基礎体温付けてる?旦那にもちゃんと精のつくもの食べさせなさいよ」
「あんたは良いわね。そのパワーを少し分けて欲しいわよ。私、また、仕事始めようかな?」
そう言うと、リサはため息をついた。
リサが、その思いを実行に移したのは、それから、暫くしてからだった。なかなか子供もできないし、生活に張りがないのがたまらなかった。以前、働いていた外資系の薬品販売会社に復帰することにした。リサは自動車免許を活かし、薬品の納品を担当することになった。仕事に復帰したリサは生き生きとして働いた。人生に張りが生まれたようだった。リサは懸命に働いた。相変わらず、コウノトリが来てくれる気配はなかったが、人生に充足感があった。あっという間に十年の歳月が過ぎた。リサの記憶からも修吾の影が消えていた。時折、思い出すことも、今はなくなった。
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