修吾

18/27
前へ
/27ページ
次へ
折り返し、彼から来たメールを見て、リサの胸が熱くなった。そこにあった彼が描いた犬の絵は、まさに修そのものだった。リサは航平が修吾、そして、修の生まれ変わりだという確証を得た気がした。 リサは返信した。 [絵拝見しました。上手ですね。よく書くんですか?] [はい、絵を書くのは好きです。いつも、書いてます。風景や動物や植物をよく書きます。] [じゃ、今度、写生に外出しますか?] [嬉しいです。ぜひ、お願いします。外の空気を吸いたいです。] [では、動いてみますね。] 早速、リサは航平の母親に許可を得て、続いて、「光の家」のスタッフに外出許可を取り付けた。条件は朝8時に出て、夕方6時までに帰ることだった。 当日、リサは万一の為に保険を掛け、助手席に航平を乗せて、「光の家」を出発した。湘南から中央道に出て、信州を目指し、昼前には目的地に到着した。 「着いたわよ」 「良いところですね」 「ええ、私にとって思い出の場所なの。学生時代にね、部活で合宿に来た場所なの。冬はスキー場になるのよ」 二人は車を降りた。航平はスケッチブックと鉛筆を持ち、車椅子に乗った。 リサは車椅子を押しながら言った。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加