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折り返し、彼から来たメールを見て、リサの胸が熱くなった。そこにあった彼が描いた犬の絵は、まさに修そのものだった。リサは航平が修吾、そして、修の生まれ変わりだという確証を得た気がした。
リサは返信した。
[絵拝見しました。上手ですね。よく書くんですか?]
[はい、絵を書くのは好きです。いつも、書いてます。風景や動物や植物をよく書きます。]
[じゃ、今度、写生に外出しますか?]
[嬉しいです。ぜひ、お願いします。外の空気を吸いたいです。]
[では、動いてみますね。]
早速、リサは航平の母親に許可を得て、続いて、「光の家」のスタッフに外出許可を取り付けた。条件は朝8時に出て、夕方6時までに帰ることだった。
当日、リサは万一の為に保険を掛け、助手席に航平を乗せて、「光の家」を出発した。湘南から中央道に出て、信州を目指し、昼前には目的地に到着した。
「着いたわよ」
「良いところですね」
「ええ、私にとって思い出の場所なの。学生時代にね、部活で合宿に来た場所なの。冬はスキー場になるのよ」
二人は車を降りた。航平はスケッチブックと鉛筆を持ち、車椅子に乗った。
リサは車椅子を押しながら言った。
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