修吾

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航平の死に顔はとても安らかな表情をしていた。満ち足りたような…。 航平が亡くなった翌年、リサは女の子を産んだ。夫は「千夏」と名付けた。千夏は健やかに育っていった。そして、高校入学を迎えた。 いつもの喫茶店にリサと彩乃がいた。 「リサは変わらないわね。羨ましいわ。どう見ても、50を過ぎているなんて思えないわよ。そうね、40代前半くらいかな?」 そういうと彩乃はスプーンでチョコレートパフェを食べた。 「何言ってるのよ。もう、おばさんよ。目尻のシワ、首筋のシワはごまかせないわね。私なんかより彩乃の方がグラマーで今でも、充分男性の目を引きつけるわよ」 「ご冗談でしょ。もともとバストが大きかっただけに垂れちゃって。子供3人に吸われたから、もう、ダラ~ンよ。ブラジャーなかったら、ヘソの辺りまで下がっちゃうわよ。ところで」 彩乃が話を変えた。 「千夏ちゃん高校入学よね。お祝い何が欲しいか聞いといて」 「悪いわね。気を使わせちゃって」 「いいのよ。生まれる前からのお付き合いだし。そう言えば、今朝の新聞見た?西北線の列車事故」 「見たわよ。スピード出し過ぎによる脱線だって?」
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