また、瞳を閉じてみる

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 小学校に上がる頃、色んなものに出会ったり 素直な純粋さが輝く頃だったと思う。 クリスマスになると思い出す。アパートの2階の窓から、 空を見上げてた。母親に「サンタさんは、煙突がないけど 来てくれるかなァ?」って聞いた。 「窓から来るわ。ちゃんとお利口にしてたら…。」って、 お決まりの台詞。 母親が仕事に出かけてからも、何度もお願いをした。 色々考えて、手紙を書くことにした。 「ほしいものは、テレビゲームです。おねがいします。」と 靴下の上に置いておいた。 窓を少し開けて、瞳を閉じてお利口に早々就寝!!  もう、待ちきれないんだなぁ~。やっと、来ました翌朝。 目覚めて直ぐ、窓の靴下を確認した。おっとォ?!  ゲームは無い。代わりに、手紙が入っていた。 私宛に「忙しくて持って来れませんでした。明日、 持って行くからちゃんとお利口さんにしてて下さい。  サンタクロースより」って。 初めてのお手紙だし、サンタさんからだし。 ちゃんと見ててくれたし、嬉しいし。 もう、はしゃいじゃって寝ている母親を 無理矢理起こして自慢した。仕事で疲れてるのに…。 その日の母親はアッサリ起きてくれた気がする。 で、窓はご丁寧にちゃんと鍵まで締まってた。 用心深いねッ、お母さん!! もう、待ち遠しくてたまらない。 夜中中起きて直接貰いたいなぁ、とか思ったけど 「お利口にしてないと来てくれないかも。」って、 その日もヤッパリ早々に就寝。 勿論、窓は少し開けといたんだけど。 翌朝、プレゼントが窓辺に有るゥ!! あれっ? 違うぞぉ! 「サンタさん、忙しすぎて他の子と間違えて 持ってきたんじゃないか?!」って、戸惑った。 だって置いてあったのは、四角いケースの 鞄に入ったミニゲーム達。ゲームはゲームでもミニカジノの ルーレットとか、ダイヤモンドとか卓上ゲームセット。 絶対、間違えてる。母親が起きた時、その事を説明した。 すると「サンタさんが、選んでくれたん違う? あんたの事を考えて。」って言ってた。なる程、 「せっかくサンタさんから初めて貰ったプレゼントだから。」 って、素直に喜んで大事に使ってたと思う。 ケースは、6年生まで持ってたなぁ。 中身は、キン消しに変わってたけど…。 後々の母親曰く、同じゲームなら賢くなれる 実用性のある頭を使えるゲームが良いと思って選んだらしい。 っていうか、まだ小学校1年生だっちゅうの!!  無茶苦茶だよ!! 私の母親は…!?
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