2、肝試し

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  「あーくそ、分かんねー!!」 学校宛に届けられた幾つもの求人表。それらをまとめたファイルを見ていた友人が、唐突に大きな声でそう言いながら頭をガシガシ掻いた。 夏休みに入って一週間。俺達は休みを返上して毎日学校に来ては求人表を見ていた。少しずつ増えていく求人表だが、自分に合った仕事が中々見付からない。そもそも、自分が何をやりたいのかさえ決まっていないのだが…。 「今のところ進展無しだな」 俺は友人の元に行き、手にしていた求人表のファイルを二冊机に置いて隣の椅子に座った。 求人表はご丁寧に県外、県内と分かれ、職種ごとにも分かれている。俺が机に置いたのは、適当に選んだ製造業と販売業のファイル。何度も見た求人表が挟まれているファイルだ。 「製造業貸してくれ」 「はいよ」 そのファイルを渡すと、代わりに接客業のファイルを渡された。先程まで友人が見ていた物だ。 接客業に興味は無いが一応目を通す。表紙を開くと、昨日までは無かった求人表が目に飛び込んできた。今日届いた新たな求人表だ。 企業名を見ると聞いたことも見たことも無い企業だった。マイナーな企業なのだろうか。 続いて仕事内容を確認する。そこには、当然のように接客と書かれ、その他に掃除なども書いてある。仕事内容は悪くない。ここまでは順調だ。 しかし、一番重要で問題がある給料で一気に地獄に叩き落とされる。給料の項目を見た瞬間に俺は落胆した。 「その企業、楽な仕事なんだけど給料安いよなー。そんな金じゃあ生活出来ねーよ」 俺の落胆する姿が横目で見えたのか、友人は製造業の求人表を見ながらそう言った。その友人がまさに言う通りで給料が安かった。月10万円でボーナスは無し。昇格ボーナスも無しだ。ボーナスが無いと言うのは非常に痛い。 途中と言ってもほんの最初まで期待させておいて、仕打ちが酷い企業だ。この企業は無いなと次の求人表を見たが、昨日と同じ求人表だった。サービス業で今日届いたのは一枚だけらしい。 昨日も見たんだよな…と思いながら、見落とした求人表は無いかと自分に合った求人を探す。しかし、最後まで見たが見付けることは出来なかった。 販売業には、新たに三枚追加されていたが接客業と以下同文。俺が持ってきて、友人が見ていた製造業は追加無し。見る程でもないと言われ、製造業のファイルは一回も開かなかった。
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