2、肝試し

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  「で、どうなんだよ。日曜日は暇なのか?」 友人が応えの催促をしてきた。結論は出たが、まだ考え途中のため黙っていて欲しい。 そうだ、さっき謝らなかったから腹癒せをしてやろう。 良い案が浮かび、それを実行した場合友人がどんな表情をするのかを想像する。良い気味だと思っていると、つい口元が歪みそうだったため直ぐに頭の中を真っ白にした。 表情から気持ちを悟られないように真顔になり、友人の問いに応えた。 「残念だけど、その日は予定が入ってるや。早く言ってくれればな」 大袈裟かもしれないが、少しオーバーに残念そうな顔を作る。また、予定など入っていないが嘘をついた。腹癒せのためなら、そんな些細なことはやって当然だろう。 さて、どんな反応をするのだろうか。 オーバーリアクションと嘘を見抜いて怒るだろうか。それとも真に受けるか。 どっちにしても反応が楽しみ…………えっ? 反応を確かめるために友人を見ると、口角が下がり目尻も下がっていた。顔文字で表すならまさにしょぼんの顔だ。一気に悲しい顔に変わったことに俺は驚きを隠せなかった。 それから、同時に罪悪に襲われる。腹癒せをしたせいでこの様な顔にさせてしまった。恐らく、期待していた応えが返って来なかったためショックを受けたのだろう。 元はと言えば、友人が俺に謝らなかったことが原因だ。しかし、彼が悪いと思っていなかったのだから謝らなくて当然だ。 そうなると、必然的に俺が悪いのか。俺の思い込みで今の状態になってしまった訳だし。 でも謝らなかった……うーん……。 まだ納得しておらず、複雑な心情だが取り合えず本当のことを言って素直に謝ることにした。変な空気にもなっているため、何とかしたいと言うこともある。 「ごめん!冗談だよ。日曜日は暇だ」 すると、パッと友人の顔が明るくなり笑顔を取り戻した。先程までの悲しい顔が嘘のようで、騙していたのではないかと疑ってしまう。
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