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その誘いを断ると友人がせがんできた。
「行こうぜ!」
「いーやーだ」
「行こうぜ!」
何度も何度もこの繰り返し。諦めないうえによく飽きないものだ。しかし俺は飽きてきたし、しつこくてイライラしてきた。何とかこの状況を脱出しなければ。
そもそも、何故こんなにもしつこいのだろう。隣町の花火大会にそんなに行きたいのだろうか。
興味をそそるものがあったかどうか考えてみるが、花火と出店しか考えて付かない。有名人が来るのでは?とも考えたが、商店街に貼られていたポスターにそのことは記載されていなかった。
だとしたら一体何なんだ。友人がしつこい理由は。考えろ考えろ。
花火大会と言えばまず花火。それから出店、浴衣もか?しかし、この三つでぴんとくるものがない。
では次に花火大会にやって来る人を考えるか。家族、友人、それと小中学生を結構見掛けるな。後は俺達高校生と……ん?高校生と言えば…そうか、分かったぞ、成る程な。
ある一つの結論を導き出し、友人の真意が解った。何故あんなにもしつこかったのか、この結果なら納得がいく。
「彼女さんに誘われたんだろう?」
「な、何のことかな?」
「二人っきりが気まずくて俺を誘ったのか?」
「んな訳ないだろ!」
図星だ。
何年一緒にいたと思っているんだ。保育園から一緒だぞ。隠そうと言ったってそうはいかない。
お互い何か隠しても見破られた。癖や行動などで分かってしまうのだ。
だから、友人に彼女が出来た時直ぐに分かった。癖や行動何かじゃなく、雰囲気が変わったのだ。明るくて人当たりが良い友人だから、彼女が出来るだろうなとは予想していた。
だが、何も話してくれないため曖昧だった。しかし、クラスメイトが友人と彼女さんのことを話していたことで確信に変わり、決定的だったのはデートしているところを見てしまったことから事実に変わった。
親友とは、何でも話す仲だと思っていたが、それは俺の勘違いだったようだ。彼女が出来たことを俺に話してくれなかった。親友だと思っていたのに裏切られた。
その事がきっかけで俺は友人を親友として接するのを止めた。
“見掛け上の親友”
今はそう接している。
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