1章

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~オダマキ~ 数時間前、奥さんの所にハルカちゃんが話があるとやってきた。 内容は、旅に出るということ。 奥さんは、ルビー君のこともあってか不安がっていたが、『かわいい子には旅をさせよ』という諺があるように、世界観を広げるためにもいいのではないかと説得をした。 不安だという気持ちは分かる、だがそれで子供の可能性を摘み取ってしまってはその方が子供にとって酷ではないだろうか。 迷ってはいたが、最後にはハルカちゃんが旅に出ることを了承した奥さん。 その時のハルカちゃんは、嬉しそうな顔をしていた。 そして先程、ハルカちゃんはこの広大なホウエンの地へと旅立った。 以前会った時とは違い、もうすでに大人の顔をしているように見えたのはきっと気のせいではないだろう。 そんな彼女を見送った後、研究室へ戻ると我が娘サファイアも旅支度をしているではないか。 最初こそ驚いたが、前から目指していたジム制覇の旅に出るのだろう。 今、窓から旅だった娘の背を見えなくなるまで見ていた。 ふと、扉を開く音が聞こえ、振り返るとそこには見覚えのある少年が立っていた。 ? 「ただいま戻りました、オダマキ博士。」 オダマキ博士 「やあ、おかえり。どうだったかい?」 ? 「まずまずといったところですね。そういえば、サファイアの声が聞こえた気がしたんですけど。彼女は?」 オダマキ博士 「たった今、旅に出たところだよ。」 ? 「そうですか。ついに……。」
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