1章

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~ハルカ~ 私には、小さい頃。 ある人と交わした、約束がある。 子供のした小さな約束だと笑われるかもしれない。 けれど、その約束は私にとって、とても大切なもの。 故郷を出て、この地まで来たのもその約束のため。 彼は言った、会いに来ると。 私は言った、会いに行くよと。 あれから、数年。 メールでの連絡は何度もした。 でも、電話で話したことはない。 もちろん、会ってすらいない。 だから、お互いがどのように成長したのか、知らない。 それは、再開した時の楽しみと決めている。 どちらかがそう言ったわけではない。 自然とそういう風にしていた。 貴方が暮らすこの町に私は降り立った。 けれど、貴方の姿は見当たらない。 もう、貴方は旅に出てしまったの? なら、私も旅に出よう。 サファイアの何気ない一言に押され、旅に出ようと決めた私。 何日かかるのか、全く分からないけれど。 必ず、会えると信じてる。 だって貴方は、この広いホウエンのどこかに、必ずいるだろうから。 探すのもいいかもしれない。 見つけてもらうのも、いいかもしれない。 サファイアは、ルビーと賭けという名の競争をするらしい。 なら私たちも競争だ。 どちらが早くお互いを見つけられるか。 貴方が先かな? それとも、私が先だろうか? ああ、早く。 貴方に会いたいよ。 『ユウキ』
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