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何はともあれ、無事に新居へと辿り着いた双子たち。
そしてその場所は。
ホウエン地方の始まりの街、ミシロタウン。
自然豊かなこの場所で、彼らの新たな生活が幕を開けた。
ハルカ
「フー。ま、こんなもんかな」
自分の荷物の整理を粗方終わらせたハルカは、そう言って休憩に入った。
窓から外を見てみると、木々が風で枝を揺らし、遠くの方には海が見える。
自分が住んでいたところも多くの自然があったが、ここも劣ってはいない。
そこまで考えて、ふと故郷で別れた幼馴染たちを思い出した。
昔から会えばケンカばかりで、でも全く憎めないあいつ。
自分よりも大人な、本当の妹のように可愛がってくれたお兄さんやお姉さん。
隣町だけれど、よく会っていた少し壁を作りやすい彼女。
今頃何をしているのだろうか…。
そこまで考えて、ハルカは首を振った。
いけないいけない、こんなんじゃ送り出してくれた皆に申し訳ない。
それにここには、彼がいるじゃないか。
それに、やっと家族で一緒に過ごせるのだから。
多少の淋しさは我慢我慢。
あ、そういえば。
ハルカは徐に立ち上がると、隣の部屋へと向かった。
隣は、彼女の弟、ルビーの部屋だ。
ノックをしてから、部屋の主に呼び掛ける。
ハルカ
「ルビー。入ってもいい?」
だが、いくら待っても返事が返ってこない。
ハルカ
「ルビー?……入るよ。」
痺れを切らしたハルカが部屋に入ると、そこには、こちらに背を向け、窓枠に足をかけたルビーがいた。
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