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~ハルカ~
窓から外を覗くと、ルビーの背が徐々に遠ざかっていくのが見える。
今日は、この町に引っ越してきた日。
そして、私と貴方が共に産まれてきた、特別な日でもある。
小さい頃から、誕生日の時は同じ屋根の下で一日を過ごしていた。
それが、一年に一回の私の楽しみでもあった。
でもこれからは、一年に一回じゃない。
毎日会えるのだと、心躍らされていた。
けれど貴方は、着いてまだ数時間と経っていない我が家を出て行った。
目的は、旅をするため。
・・・
そして目標は、あの人を見返すため。
バトルが信条のあの人とは違い、コンテストという道を選んだ貴方。
そのことで、貴方とあの人は良く言い争いをしていたのを私は知ってる。
自分の子なのだから、という理由なのかバトルをしろと強要するあの人。
それに反発して、さらに美しさに磨きをかけようとする貴方。
私は、バトルもコンテストも両方好きなことだ。
どちらの気持ちも、よく分かっているつもりだ。
どちらも同じ、貫きたいものがある人。
どちらが悪いとは言わないけれど、お互い歩み寄ることはできないのだろうかと、何度も思った。
でも似た者同士だから、同族嫌悪みたいになってしまったのも事実。
私も、あの人は嫌いだし。
貴方と理由は違えども、あの人を嫌いであるのは変わりない。
だから、私は最大限貴方の味方をすると決めている。
姉だから、と私は言ったけれど、少し違う。
私は貴方が大好きだから、だから今まで貴方の味方でいた。
そして、これからもそうでいたいと願う。
ルビーの背中は、木々に隠れもう見えなくなってしまった。
部屋から出る前に、偶には連絡を入れてほしいと言って、私の番号を教えた。
ちゃんと連絡が来るのかは分からないけれど、待っていればいつかは来るだろう。
そう結論付けた私は、体を伸ばした。
さてと、そろそろ。
下にいる私たちの母さんに、うまい言い訳をしに行きますか。
私は、もう一度窓から外を眺めると、踵を返してこの部屋を後にした。
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