-許さない-

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広樹が言ってた様に サキさんは、家を出てった。 そして、何も言わず 広樹はあたしの家に居る。 孤独が嫌いな彼の 逃げ道でも何でもいい。 ただ…一日の始まりから終わりまで 飽きる程に共にしたい。 「荷物も引越し屋に頼むんだって」 「行動が早いね。 でも、戻ってくるよ」 「俺がもう無理だから」 そう抱き寄せられる。 嬉しいはずなのに 胸が痛い。 広樹が欲しいのに 苦しくなる。 きっと、罪悪感と幸福感の狭間 本当にいいの? もう待てないよ。 「恵理」 「ん…」 引き寄せられて 広樹の匂いでいっぱいになると いつも考えるコトをやめて 全身で"貴方"抱きしめる 「ね、恵理?」 「ん?」 「もっと、鳴いて?」 広樹に従う従順なペットなフリ あたしが鳴いて 貴方が快楽を得るのなら あたしはソレで喜ぶ広樹を見て 快楽を得る。 「え、り。」 「ん…」 広樹の心も思考も何もかも この一瞬だけは あたしでいっぱいになって欲しい 「…久しぶりだと、ヤバイ(笑)」 「ひーくんのバカ(笑)」 こんな幸せを幸せと 呼んではいけないと 誰しもが解ってる。 だから、制裁は いつかあたし達を引き離すんだろう。
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