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仕事の休憩の合間に
別れた筈の奏からメールが来た。
ああ。そうだった。
彼女はどんな手を使っても
彼を自分の元に置きたい人だった。
"サキって子からメール来たけど
SNS通して。
どういう事なの?"
何度かのあたしとのやり取りと
情報を全て記憶し
それを頼りに奏を割り当てたのだ。
"どういうって?
内容は、何?"
もう幾度となく濃ゆい修羅場を
経験させて頂いたあたしは
酷く歪んだのか
驚きはしなかった。
"一緒らしいね。
あの人達別れたらしいじゃん
恵理に取られたって。"
取る…ね。
彼は物じゃないし
仮にそうだとして
あたしは所有者でもない。
"奏、相手しなくていいから。
関係無いし。
巻き込む方がおかしい。"
"でも!"
…はあ。
挫けそう。
"…だそうです。"
広樹にその旨を伝えると
彼も同じ反応をして
「ごめんね」と言った。
広樹のごめんを聞く度に
酷く痛む胸。
"サキさんの貴方"だから
謝るの?
どうやらあたしは
哀しむポイントを間違えてるみたい
いつもよりも、早いテンポで
やってくる嵐に
広樹とあたしは
ほとんど打ち合わせもなく
対処する。
此処まで来ると
もう、戦友。
あたし達に甘い時間も言葉も要らない
結果が全て。
それに近づこうとする
広樹が、ご褒美…。
あたしは犬なんだろうか?
首輪を無くしたノラ猫?
笑ってくれるなら
いくらでも心殺してくから
もう、ごめんなんて言わないで…
"誰かの貴方"を
感じたくないよ…
人を裏切る罪人には処罰を。
下されるあたし達の未来に
幸せなんか無いと。
解ってるよ…
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