-あれから-

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諦めなんてきっと。 初めから無かった様に思える。 目を背けたのはあたしだけども 形を変えど一緒に居れたらなんて 淡い期待を消せずに…。 その証拠に。 「君は来月引っ越しじゃなかった?」 「え、そうだけど。」 「何だね、この部屋は」 「……すぐ、片付くから まだこのままでいいかなと 思ってさー!」 他県に引越して結婚をすると 言い張るあたしの 行動の伴って無さもそう。 …奏に他の誰かに 身を、心を捧げる決意なんて 本当は、出来てない。 「…そのまま居たらいーのに」 「…へ?笑」 「嘘だよ。 一ヶ月、切ったね…」 「…… 早いねー! もう当たり前が無くなるんだ。 でも当たり前じゃないコトが 当たり前になるよ!」 互いに知り合う前に 戻るだけ。 本音なんて言うだけ辛いだけ。 そう言って広樹は… 大切なモノ、放棄しないじゃない あたしも貴方みたいに 奏を大切にしようと 意地だって張るよ。 だから、決意を揺るがせないで… 「残った時間で何が出来るんだろね…」 「"いつも"のコトだよ…」 "それがいい。それで…いい…" お願い広樹、貴方の 嫌いになる方法を 嫌われる方法を教えて下さい 共に生きていけないのなら 今この一瞬を 一瞬だけを心から愛して そして突き放して欲しい… そう、切に願っていた。
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