3

13/33
前へ
/1147ページ
次へ
よしっ! いざ、出陣!! 気合いを入れて? スペアキーを差し込もうとした途端、ドアが自然に開いた――――。 「センサー!?」 「そこまでハイテクじゃないよ」 私のボケに左手の握り拳の甲で、口元を押さえて笑いを堪えている小田切さんが立っている。 「小田……っ!」 「お帰り~香織ん!」 小田切さんは満面の笑顔でドアを全開にして、腕を広げ部屋に招く格好をしてきた。  それが何かくすぐったく感じつつ、条件反射もあって―――― 「ただいまです……」 ――――そう、答えている私がいる。 キャリーバックを先に玄関に入れてから入ろうとすると、小田切さんは優しく微笑みながら話しかけてくる。 「荷物、少し持って来れた?」 「あ……一週間分くらいは……」 「そう。重たかったでしょ」 笑みを浮かべたまま小田切さんは、ヒョイッとスマートに荷物を持ち上げて、中まで運び入れてくれた。 「あっ! ありがとうございます!」 小田切さんの瞬発の行動に慌ててお礼を言って後を追うと、一番奥の角部屋に案内される。 「は~い! ここ、香織んの部屋だから好きに使ってね」 ガチャ――――ドアが、ゆっくりと開いた。
/1147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3508人が本棚に入れています
本棚に追加