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よしっ! いざ、出陣!!
気合いを入れて? スペアキーを差し込もうとした途端、ドアが自然に開いた――――。
「センサー!?」
「そこまでハイテクじゃないよ」
私のボケに左手の握り拳の甲で、口元を押さえて笑いを堪えている小田切さんが立っている。
「小田……っ!」
「お帰り~香織ん!」
小田切さんは満面の笑顔でドアを全開にして、腕を広げ部屋に招く格好をしてきた。
それが何かくすぐったく感じつつ、条件反射もあって――――
「ただいまです……」
――――そう、答えている私がいる。
キャリーバックを先に玄関に入れてから入ろうとすると、小田切さんは優しく微笑みながら話しかけてくる。
「荷物、少し持って来れた?」
「あ……一週間分くらいは……」
「そう。重たかったでしょ」
笑みを浮かべたまま小田切さんは、ヒョイッとスマートに荷物を持ち上げて、中まで運び入れてくれた。
「あっ! ありがとうございます!」
小田切さんの瞬発の行動に慌ててお礼を言って後を追うと、一番奥の角部屋に案内される。
「は~い! ここ、香織んの部屋だから好きに使ってね」
ガチャ――――ドアが、ゆっくりと開いた。
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