三章 自殺

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「というと、動機を知っている人物に会いに行ったのですか?」 上杉が慌てた。 「そうです。しかし、刑事さんが自殺と言ってくれて安心しましたよ」 「は、はあ?」 「第一発見者を犯人として決め付ける刑事よりはよっぽどマシだということです」 「あのね。第一発見者は疑うべからず。これは鉄則なんですよ」 「そうでしたか。無知で申し訳ない」 「それで、天草探偵はどちらに?」 上杉は、情報を寄越せといいたげな表情をしていた。 「白河啓太という人物のところです。話しを聞いてくると言うんで、俺達は別のことをしませんか?」 「それは、言われなくてもわかる。しかし、こう綺麗に片付けられたのでは…」 部屋は、使用人に綺麗に片付けられたあとであった。 「そこで、さっき渡したコップを調べて貰いたいんです」 「む?」 「指紋を調べてください。それで大体わかります」 上杉は暫く考えていたが、コップを持ったまま家電を使って県警に連絡を取った。 上杉が戻るまでの間に、片霧は部屋をもう一周する。 手掛かりになるのは、日記だけであった。 日記の頁には、乙女心が書いてある。
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