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居候の身分ではあったが、異様なものがあることは分かった。
なにか、ぎすぎすとした空気が漂っていて居心地が悪い。
しかし、それ以上に自分の居場所を見失っていた。
館に来て十年になる。
あの頃は、三姉妹も可愛い盛りであった。
姉の朱にはそれなりの大人の魅力があった。
緑にも質素ながらもかわいらしい空気が纏っていた。
三女の紫にしてみても、幼さと無邪気さが独りっ子の白河に癒しを与えてくれていた。
それが、三年で変わってしまった。
朱は、得体の知れない男に惚れた。
白河も緑の好意には気が付いてはいたが、紫の嫉妬が目に余る様になっていった。
白河は、緑を紫から庇っていたが、それが逆効果を生んだ。
紫が緑になにかしたことは、天草が話しをしたときに気付いた。
しかしそれを天草には、言えなかった。
確たる証拠もない上に、自分自信の罪も浮き彫りになる。
自らを追い詰めることに成り兼ねない。
白河は、保身に走った。
緑は自殺未遂で処理される。
天草が、そうはっきり言った。
それに、紫が何かをするには無理がある。
緑が手首を切った時刻、この場に居たのだから。
天草には真実を言ったのだ。
ただ、白河自身の悪行を知っている人物が居る。
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