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その人物を穏便に追い出すことを考えなければばならない。
その人物は紫と緑、自分の関係も知っているのだ。
もう、刑事に話しただろうか。
やはり、話しを聞きに出向くべきだったか。
白河は、ベッドから窓を見る。
時間の流れが遅い。
外は、真っ暗だった。
白河は、今、起きたという風を装って、広間に足を向けた。
広間には電気が点り、館にいる全員と刑事が集まっていた。
「…啓太様」
紫が、即座に駆けてきた。甘えるように抱き着いて来る。その頭を軽く撫で、白河は一礼した。
「君が、居候の白河啓太さんですか?」
刑事が、早速、聞いて来た。
「はい」
「後は君だけだったんだ。単刀直入にお聞きします。緑さんの悩みの原因を知っていますか?」
「……いえ、分かりません」
紫と白河を見張るような冷たい目線の手前、白河は答えた。
「そうですか。では、質問を替えましょう。白河さんは娘さんの中から婚約者を選ぶことになっていたそうですね。もう、お決まりですか?」
「え……あ、いえ」
白河は、言葉を詰まらせた。
「啓太様は、私と結婚すると約束してくださいました」
空気も読まずに紫が、言う。
しかし、白河にはいい助け舟であった。
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